第164章

林田知音は手を上げた。

「分かってる。で、あんたは今どうしたいわけ? 靴が濡れたなら拭けば終わりでしょ。どこが壊れたの、見せて。アルマーニの靴ってそんなにヤワなの?」

もちろん、こういう高級品の多くが見栄の道具みたいなものだって知っている。革によっては水がつけば寿命に響くのも事実だ。

けれど、このお嬢様の態度は問題を解決したいというより、ただ誰かに八つ当たりしたいだけに見えた。

「甘ったれてるの、靴じゃなくて人のほうじゃない?」

「誰が甘ったれてるって?」

「さあ、誰でしょうね」

林田知音は肩をすくめる。

背丈はもともと大差ない。だが、知音が顎を少し上げただけで、小池南よりわ...

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