第18章

「もう辞めるつもりか? 言っとくけどな、南雲海。おまえが今日出ていったら、明日には俺のメールボックスにバーテンダーの履歴書が山ほど届くぞ」

「はいはい……脅したって意味ないでしょ。俺を脅したからって、女の子を口説けるようになるわけ?」

「うるさい」

林田知音が一曲弾き終えると、日野成謙は立ち上がってそちらへ歩み寄った。

「少し休むか?」

「大丈夫です」

「さっき、あっちのお客さんが何人も聞いてきたんだ。どこであんな美人のピアノ奏者を見つけてきたんだって。挨拶くらいしてくるか? 自己紹介も兼ねて」

「私の演奏、気に入ってくれたんですか?」

林田知音がそう尋ねる。

日野成謙は一...

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