第19章

彼女は、林田知音が目黒家を出れば、みじめで落ちぶれるに違いないと思っていた。目黒雲月が自分を選び、林田知音が家出したその瞬間、自分の勝ちだと――そう信じていた。

けれど目黒家を離れた林田知音は、落ちぶれるどころか困窮の影すら見せず、こうして皆の視線のど真ん中に現れて、ひときわ眩しく輝いてみせた。

野呂雨芽はスマホを取り、どこかへ電話をかけると、そのまま自分も化粧室へ向かった。

林田知音が化粧室に入ったばかりで、まだ扉を閉め切ってもいないうちに、目黒雲月が足を踏み入れてくる。

「……ここ、女子トイレだよ」

そんな声など聞こえなかったみたいに、目黒雲月は扉を閉め、内鍵をかけた。

林田...

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