第27章

林田知音は言い終えた瞬間、自分の両手がほとんど痺れて動かないことに気づいた。汗を拭くどころか、少し指先を動かすだけで痛みが走る。

日野成謙は黙って彼女を見つめていた。気まずそうにする彼女をわざわざ突かず、そのまま手際よく汗を拭き続ける。林田知音は小さく言った。

「……ありがとうございます」

五味部長は処置を終え、手早く包帯を巻きながら言う。

「処方を出すから、日野先生は林田さんを連れて抗生剤の注射を打ってきて。ついでに鎮痛も一本ね」

林田知音は日野成謙をちら、と見た。

「……どうしたの?」

「日野さん……勤務中じゃ……?」

「病院に着いたら、男が君を抱えて救急に駆け込んでるの...

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