第32章

「その顔、なに? 私は医者よ。外科の手術だって何百件もやってる。薬の交換くらいで失敗すると思ってるの?」

日野成謙はそう言いながら手を洗い、部長がさっきまでいた席に腰を下ろした。

ドアが開いて、すぐ閉まる。処置室には、彼と彼女の二人きり。

林田知音は理由もなく、また胸がきゅっと縮んだ。日野成謙が処置用のワゴンを引き寄せ、ちらりと彼女を見る。

「なんで後ろめたい顔してる?」

「わ、私、別に後ろめたくなんて……」

「後ろめたくない? 俺、病院で三日間ぶっ通しだ。なのにお前、メッセージ一通も寄こさない。休めてるかも、ちゃんと飯食えてるかも、疲れてないかも。何ひとつ気にしない」

「……...

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