第60章

林田知音は目の前の青いドリンクを持ち上げた。

「お返しってことで」

二人は顔を見合わせ、ふっと笑う。

「食べよっか」

林田知音は軽めのものがよかったらしく、日野成謙も凝った料理にはしなかった。用意したのはサーモンのポキ丼を二つ。最近ネットでよく見かける作り方で、日野成謙は前に料理人が味を調えているのを見て、少しだけ覚えていたのだ。

「初めて作ったんだ。食べてみて」

「うん」

林田知音は思う。日野成謙はたいてい、やさしくて気が利く。けれど、ごくたまに見せるひねくれた顔や腹黒さ、からかうような小さないたずらが、妙に胸をくすぐるのだ。

本当に、女が憧れずにはいられない男だ。

もし...

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