第63章

「きゃっ!」林田知音はベッドから飛び降り、脇にあったバスタオルをひっつかんで身体に巻きつけた。「そんなの、絶対ムリ!」

言い切った途端、ふくらはぎがふにゃりと力を失い、「いった……」と情けない声が漏れる。

日野成謙が小さな間接灯を点け、長い腕を伸ばして彼女を引き寄せた。

「冗談だよ」

そうして林田知音は、また日野成謙の腕の中へ収まってしまう。裸の肌が、さっきよりもずっと近い距離でぴたりと重なった。彼の腕を枕にすると、視界いっぱいに広がるのは引き締まった胸板。

日野成謙の顎が、そっと彼女の頭頂に触れる。髪から立つ甘い匂いを、ゆっくり吸い込むように。

その優しい温度が、恥ずかしいのに...

ログインして続きを読む