第71章

「まあそんなもんだろ。家を二軒ほど売れば、すぐ用意できるじゃないか?」

「ぷっ……ははははは!」

日野成謙がそう口にした瞬間、野呂雨芽が吹き出すように笑い、会場のあちこちからも囃し立てる声が飛んだ。

「どこの道化だよ。ここを何だと思ってる」

「日野さん、冗談はやめましょう。林田知音に骨抜きにされたのは分かりますけど、なけなしの資産を売ってまで彼女のために張り合うなんて、さすがに感情で突っ走りすぎじゃないですか」

「値打ちがあるかどうかは俺が決める。それに俺の資産を空にできるかどうかは、目黒さんの腕次第だ」

そう言うと日野成謙はパチンと指を鳴らした。すぐさま係の者が椅子を運んでくる...

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