第78章

彼は林田知音がこんなふうになってしまったことが、たまらなく痛かった。かつて彼女が真心を注いだ相手は、決して「いい男」なんかじゃなかったのに。

「君の耐性は心配してないよ……」

日野成謙は意味ありげに笑う。林田知音は思わずぱちぱちと瞬きをした。――それ、どういう意味?

「だって、昨夜もう証明してくれたじゃないか。君の耐性……」

耳元に寄せられた囁きが、熱を帯びて小さな耳朶をじわりと赤く染める。

林田知音はごくりと唾を飲み込んだ。脳裏をよぎるのは、昨夜、彼に侵されていったときの底なしの恐怖。壊される、と思った。なのに、あの人は何度も何度も囁いたのだ――「すごい……全部、受け止めてる……...

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