第80章

林田知音が店を出ようとした、そのとき。

コンコン、とノックの音がして、制服姿の警官が二人入ってきた。片方は知音も顔を知っている。野呂雨芽の兄、野呂雨仁だった。

「林田知音さんは、どちらですか」

もう一人の警官がそう尋ねる。

知音は小さくうなずき、一歩前へ出た。

「……私です。何か?」

「警察です。経済事件に関してお話がありまして、署までご同行願います」

知音は言葉の意味がすぐに呑み込めなかった。

「……何のことですか? 経済事件って……?」

二人の警官が視線を交わし、片方が口を開く。

「三年前、C市の炭鉱で違法採掘が行われ、ガス爆発で十六名が現場で死亡しました。事故後、届...

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