第90章

林田知音は数秒だけ迷ったものの、結局は日野成弘の後について歩いた。だが、軍用列車が停まっているのを目にした瞬間、さすがに息をのむ。

視界の先には黒々とした人の波。見渡す限り迷彩服ばかりで、その圧に足がすくんだ。

日野成弘は彼女の緊張を見て取ったのだろう。

「大丈夫だ。もう上の連中には話を通してある」

そう言い終えるか終えないかのところで、ちょうど兵士が通りかかり、わざわざ足を止めて日野成弘に敬礼した。

「長官!」

林田知音はさらに尻込みする。

「やっぱり……私、乗らないです。ご迷惑をおかけしすぎます」

「これからは身内みたいなもんだろ。遠慮するな」

日野成弘はさらりと言った...

ログインして続きを読む