第93章

唇と歯のあいだの熱が、じわじわと上がっていく。林田知音は息が詰まり、頭の奥がぱんぱんに膨らむようだった。整えられた短い黒髪の生え際――きちんと刈り上げられたうなじに腕を回し、指先が無意識に、硬く短い髪の間へと絡み入っていく。

終わったとき、知音は彼の身体にぶら下がるようにしていた。くらくらする頭では何ひとつ整理できない。ただひとつだけ、はっきりわかったことがある。――自分は本当に、彼が恋しかったのだ。

日野成謙の瞳の奥が、ふっと深くなる。彼は知音の肩を抱き、耳元へ顔を寄せた。

「まだ、俺に言うことある?」

知音はぼんやりと首を横に振った。

「知音……お前、ひどいよな……」

責める...

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