第5章
「いやああっ!」
恐怖に満ちた甲高い悲鳴が、ダイニングルームの重苦しい沈黙を切り裂いた。百合が私に飛びつき、その小さな両手で必死に私の腕にしがみついてくる。紅潮した顔からは、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちていた。
「ママ、パパと離婚しないで! わたしを置いていかないで!」百合は私の袖に顔を埋め、しゃくりあげながら訴えた。
「もうお菓子も食べない! 言うことも全部聞くから! だから、お願い、行かないで!」
雅之が一歩前に出た。顔面は蒼白で、現実から目を背けるように双眸を血走らせている。彼は私の両肩を、あわや痣になりそうなほどの強い力で掴んだ。
「絶対にあり得ない」雅之は歯を食いしばり、...
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