第100章 説明する必要はない

「俺だ。安さんが夜食を作ってくれた。持ってきたぞ」

古川静弘は軽く咳払いして、用件を告げた。

室内は、彼の声が届いた途端に沈黙した。しばらくして、ようやく返事が返ってくる。

「お腹すいてない。あなたが食べて。もう寝るから」

「羽鳥秋葉……俺の顔すら見たくないって言うのか」

拒絶の言葉に、古川静弘の眉間がきつく寄る。いまさら取り繕う気もない、ということか。

「そう。だから古川社長も、ここで無駄に時間を使わないで。須藤篠華のところに行ってあげたら? あの人のほうが、あなたを必要としてるでしょ」

嘲るような声が、扉の向こうから突き刺さる。

古川静弘は椀を持つ手に力を込めた。端正な顔...

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