第113章 羽鳥秋葉の決断

須藤篠華の視線を一身に浴びながら、古川静弘は離婚協議書にサインを入れた。自分の名前を書き終えた、その瞬間――胸の奥で、張りつめていた一本の弦がぷつりと切れた気がした。目の奥がつんと痛む。

感情を押し殺し、深く息を吸う。さきほど名刺を置いていった小野に連絡し、書類を取りに来てもらうことにした。

小野はちょうど遠くまで行っていなかったらしく、古川からの電話を受けるとすぐに戻ってきて、協議書を受け取った。

「お手数をおかけしました、古川さん」

古川静弘は答えない。ただ、小野がそれを公文書用の鞄へしまうのを見つめていた。胸のどこかで、また何かが静かに砕ける。

わかっている。この離婚協議書が...

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