第115章 離れる

羽鳥秋葉と夏川寧々が荷物を持って階下へ降りると、古川母は相変わらずリビングにいた。秋葉がスーツケースを一つ提げているのを見ても深くは考えず、「気をつけてね」とだけ言って送り出す。

そのときの古川母は、まだ知らない。

羽鳥秋葉がこのまま去れば、次に顔を合わせるのは――何年も先になるということを。

それから数日、秋葉はスタジオの引き継ぎに専念した。

こはるには「しばらく海外で静かに過ごしたい」とだけ伝える。こはるも、この間に秋葉の身に起きたことは把握していたのだろう。話を聞くなり、明るく頷いた。

「わかった。こっちは私がちゃんと回すから、安心して」

秋葉はこはるの力量を信頼していた。...

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