第118章 五年後

五年後。

アイスランドのとある小さな町。

「読み花」と書かれた花屋の前。木の階段にちょこんと腰を下ろし、あぐらをかいた小さな男の子がいた。両手を口元で小さなラッパみたいに丸め、焼きたてのカスタードまんじゅうみたいにふっくら丸い頬を上げて、通りすがりの人たちへ澄んだ声を飛ばす。

「見てってー! 採れたてのバラだよー!」

風がふわりと抜ける。髪に挿した小さなデイジーがゆらりと揺れて、黒ぶどうみたいな瞳がきらきら光った。店内のかすみ草より、ずっと眩しい。

ほんの少しの間に、花屋の前はその丸い顔を中心に、ぱっと賑やかになっていく。

もちもちした声なのに、驚くほどよく通る呼び込みに足を止め...

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