第127章 人違いをする

古川静弘はベッドに横たわっていた。意識は酒気と胃の痛みにかき乱され、輪郭を失っている。

半分だけ開いた目。焦点の合わない視界の端に、ベッドサイドに座る誰かの横顔が、やわらかな影として浮かんでいた。

琥珀色のスタンドライトがその人の髪を照らす。横顔の線は優しく、静かに彼を見守る佇まいは――記憶の中の幾つもの夜と、あまりにもよく似ていた。

その瞬間、古川の現実はふっと遠のいた。

喉がからからで、声が掠れる。彼は無意識に手を伸ばし、指先でそっと宇野輔佐の手首に触れた。夢の寝言みたいな、小さな声で。

「秋葉……」

水の入ったコップを持つ宇野輔佐の手が、ぴたりと止まる。全身が固まったまま、...

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