第14章 奪われた王冠

羽鳥秋葉は振りほどこうとしたが、うまくいかず――結局、彼の好きにさせた。

これ以上、彼と口論したくなかった。ここで揉めれば、みっともないだけだ。

とはいえ、秋葉も何も言わない。

「話がある」古川静弘がもう一度繰り返した。声はぐっと落とし、聞こえるのは二人だけ。

「何を?」秋葉は壇上から目を逸らさないまま、淡々と返す。

「自分の妻を尊重できるようになるまで、話すことなんてないと思うけど」

「謝っただろ!」静弘はこめかみがズキズキと脈打った。

「さっきは俺が悪かった。……けど今日みたいな場で、古川の奥さんが、他の男とあんなに近い距離で――」

「社交のマナーよ」秋葉が遮る。「古川静弘...

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