第148章 彼の愛は、あまりにも身勝手だ

「……あのとき、須藤篠華に命を救われたんだ。俺のせいで銃弾を受けて、死にかけた。『後悔は残したくない』って言われたら……俺には、あいつを無下にできなかった」

古川静弘は羽鳥秋葉を食い入るように見つめた。必死の弁解。誤解されたくないという焦りが、声の端に滲む。

「俺とあいつの間にあるのは、命の恩だけだ。男女の情なんて一欠片もない。秋葉、俺が愛してるのはおまえだけだ。ずっと、最初から……」

その言葉は、澱んだ水面に石を投げ込むみたいに落ちた。けれど羽鳥秋葉の心は、ぴくりとも揺れない。

むしろ唇の端を引き上げ、極限まで冷えた嘲笑を浮かべた。その笑みの冷たさに、古川静弘の胸がひゅっと縮む。

...

ログインして続きを読む