第155章 宇野若奈が言いがかりをつける

宇野若奈は花束の中のトルコキキョウの花びらを、指先でそっと弾いた。わざとらしいほど逡巡を滲ませた口ぶり。けれど眉と目の奥には、見えにくい選り好みが潜んでいる。

「わざわざ最高級の輸入花材を頼んだのに、花びらがしおれて見える。それに、この包装……ちょっと簡素すぎない?」

声量は大きくない。だが店内の誰の耳にも、きっちり届く程度には計算されていた。視線は店の設えをなぞるように滑り、その様子は難癖をつけに来た令嬢そのものだった。

羽鳥一弥は絵本をめくっていた手を止め、小さな眉をきゅっと寄せる。ぷくっと頬を膨らませて顔を上げたが、林田新が肩に軽く手を置き、黙れと合図した。

林田新は花棚にもた...

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