第19章 命の恩人

その一行を見た瞬間、羽鳥秋葉は足元の感覚を失った。

薄い紙を握りしめたまま、理解が追いつくより先に――びり、と裂いてしまう。

……そんな、あり得ない。

彼はこの子のことを、どうでもいいと思っているの?

私に、堕ろせって……。

どうして、そこまで残酷になれるの。

震える手で、秋葉は破れた紙を寄せ集め、何度も何度も文字を確かめた。どこかに綻びがないか、見落としがないか。これは夢だ、と自分に言い聞かせたくて。

けれど紙の感触はやけに現実的で、鋭い断面が指先を切った。じわり、と赤がにじむ。

そこへ夏川寧々が食事を持って入ってくる。秋葉の上の空の顔を見て、寧々は紙をひったくった。目を見...

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