第47章 致命的な契約

古川の母は首を横に振った。

「詳しいことは何も……。前に結んだ契約に問題が出たって一言だけ。顔色が、ほんとに最悪だったわ」

羽鳥秋葉の胸の奥で、もやもやとした疑念が膨らむ。

三年前のあの経済危機以来、古川静弘は契約ごとに関して異様なほど慎重だった。成立しなくてもいいから、リスクだけは徹底的に潰す――そんな姿勢を崩さない人だ。

それほど用心していて、なお事故が起きる?

まさか、また景気の波が来るのだろうか。

そう思った途端、食欲がすっと消えた。秋葉は古川の母に軽く会釈し、落ち着かない足取りで先に帰ることにした。

車で戻る途中、彼女は古川静弘の秘書に電話をかけた。

「会社、何かあ...

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