第49章 激しい衝突

古川静弘は、オフィスで丸々ひと午後を椅子の上で過ごしていた。

目の前の灰皿は吸い殻で山になっている。それでも指が勝手にライターを弾き、また一本に火をつけた。

ゆらゆらと煙が立ちのぼるなか、彼は机上の――問題の契約書を睨みつける。並ぶ文言の一つ一つが、まるで自分の愚かさをあざ笑っているみたいだった。

なのに頭の中を占めているのは、厄介事の処理じゃない。さっき、羽鳥秋葉にぶつけた言葉だった。

『俺に商売を教えようなんて、破産した家の娘ごときにはまだ早い』

――どう考えても、言い過ぎだ。

三年前、羽鳥家が潰れたときの光景は、いまでも鮮明に蘇る。

常に気品をまとっていた羽鳥家当主は、あ...

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