第56章 怒りで発狂する

傷口はまだどくどくと脈打つように痛み、羽鳥秋葉はさきほど医師に「この薬、私のお腹の子に影響はありませんか」と確認していた。問題ないと聞いて、ようやく胸を撫で下ろしたところだ。

いま彼女は車椅子に身を預けている。顔色は相変わらず、ぞっとするほど青白い。

古川静弘は、秋葉の膝を覆う分厚いガーゼを見つめたあと、しゃがみ込み、慎重に彼女のふくらはぎを支えて少しだけ動かしてみる。そして顔を上げた。

「……ここ、痛いか?」

秋葉はひゅっと息を呑み、こくりと頷いた。

静弘は短くため息をつき、立ち上がる。

「入院の手続きしてくる。これは何日か、ちゃんと休ませないと」

秋葉もまた頷きながら、内心...

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