第68章 命の恩?

須藤篠華は唇を噛み、こくりと小さく頷いた。

その様子を見た古川母が、眉をひそめる。

「傷って……何のこと? 篠華が怪我をしたの?」

古川静弘は一瞬言いよどんだが、観念したように口を開いた。

「母さん。篠華は前に、俺を助けるために……ひどい怪我をした。危うく……危うく死にかけたんだ」

その言葉が落ちた途端、リビングの空気が凍りついた。

古川母は須藤篠華を見つめ、驚きに目を見開く。

「助けたって……いつの話? どうして私は知らないの?」

静弘の告白に、母だけではなく羽鳥秋葉まで視線を向けた。

母の反応を見て、静弘の胸にふっと考えがよぎる。

――今なら、母さんも篠華をそこまで拒...

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