第74章 詐欺師みたいだ

羽鳥秋葉はびくりと肩を震わせ、振り返った。

長廊の入口に立っていたのは古川静弘だった。

背後から差し込む陽光が彼の影をやけに長く引き伸ばしている。その影を引きずるみたいに、彼は一歩、また一歩とこちらへ向かってくる。足音のたび、空気が重くなるほどの圧があった。

視線は羽鳥秋葉を通り越し、まっすぐ坂東和人へ落ちる。

坂東和人の笑みが一瞬だけ固まった。だがすぐにいつもの表情に戻り、くるりと向き直って丁寧に会釈する。

「古川さん、でしたか。奇遇ですね」

古川静弘は距離を詰めながら、さらりと言った。

「ずっと後をつけてた」

まるで尾行が後ろめたいことでもないみたいな口ぶりだ。

羽鳥秋...

ログインして続きを読む