第86章 どこが気に入らないのか

須藤篠華は、古川静弘が申し訳なさそうに俯くのを見て、内心で小さく息をついた。――これでいい。

欲しかったのは、彼の罪悪感だ。そうさえ引き出せれば、彼の意識は自分に向く。羽鳥秋葉にばかり惹かれていく、その流れを止められる。

もちろん古川静弘は、須藤篠華の腹の内など知る由もない。だが今の彼の胸が、罪悪感でいっぱいになっているのは事実だった。ほかのことは、すべて頭の隅へ追いやられている。

篠華が自分のせいで怪我をした。そんな彼女を、ここに一人で置いて帰るなんて――できるはずがない。

その夜、古川静弘は家に戻らず、病院で須藤篠華に付き添った……。

翌朝、医師の回診が終わってから、ようやく古...

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