第95章 君はどうして来たんだ

「今日は、いつもより食べてないの」

古川母は羽鳥秋葉の茶碗にちらりと目をやり、少し間を置いてそう答えた。

古川静弘の胸の奥が、さらにざらつく。――自分がいるから、余計に食べないということか。

もうそんなに嫌われているのか。いっしょに食卓を囲むことすら、耐えられない?

古川母は黙り込む息子を見て、諦めたようにため息をついた。

「それで……須藤篠華の具合はどうなの。重いの?」

古川静弘は一瞬言葉に詰まり、静かにうなずく。

「医者の話だと、かなり。今も、もっといい治療法がないか探してる」

隠しはしない。ただ、細部までは語らず、要点だけを伝えた。

「俺ももういい。母さんは食べて」

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