第2章
早朝に目が覚めた。ブレイクの破滅を企みながら、完璧な、感謝に満ちた哀れな保護対象を演じきるつもりだった。
朝食の席に現れたブレイクは、まるで雑誌から抜け出してきたかのようだった。完璧に無造作なくせづけされた金色の髪に、私がよく憶えている深い青色のシャツ。前の人生で彼が初めて私に近づいてきた時と、まったく同じ服装だった。微笑みさえも同じ。目に暖かみの宿らない、あの練習された表情。
「おはよう、リバー」彼は私の隣の椅子に滑り込みながら言った。その声には偽りの気遣いが滲んでいた。「よく眠れたかい?」
吐き気がした。これも前と同じ芝居だ。優しい接触や庇うような仕草で、思いやりのある兄を演じる。過去の私はそれにすっかり騙され、自分が特別なのだと思い込んでいた。だが今なら、彼の魂胆が手に取るようにわかる。
「ええ、おかげさまで」私は慎重に感情を抑えた声で答え、クインの様子を横目で窺った。
彼女は私たちの向かいに座り、黙々とトーストにバターを塗っていた。黒い髪がカーテンのように顔にかかっている。けれど、彼女の注意が鋭く私たちに集中しているのが感じられた。
「アートに興味はある?」ブレイクの指が私の肩に触れた。以前と寸分違わぬ、計算された接触。「上の階に、最高の自然光が入るアトリエがあるんだ。見に来ないか?」
前の人生で言われたのと一言一句同じだった。あの時の私は、彼の関心が本物だと信じ込み、興奮に胸を輝かせたものだ。
期待通りの熱心な返事をしようと口を開いた瞬間、クインが割り込んできた。
「彼、昨日ここに来たばかりでしょ」彼女は朝食から顔も上げずに言った。「まずは落ち着かせてあげたら?」
私の肩にあったブレイクの手がこわばった。一瞬、彼の顔に苛立ちが閃いたが、すぐに笑みが張り付いた。
「ああ、そうだな」彼はこわばった声で言い、手を引っこめた。「時間はたっぷりある」
何もかもがおかしい。前の人生では、クインは今頃、ブレイクの関心に嫉妬して、私に射るような視線を送っていたはずだ。なのに彼女は……私を庇っている?
綿密に練った計画が、急にぐらつき始めた気がした。
ブレイクが朝の授業へと向かった後、私とクインは静まり返ったダイニングルームに二人きりで残された。彼女は何か言いたげに、だが言葉を見つけられない様子で、何度も私に視線を送っていた。
「庭、見る?」ついに彼女が口を開いた。「この時期、薔薇が綺麗よ」
私は彼女の後について外に出た。頭の中は混乱していた。アッシュワースの敷地は、雑誌のグラビアのように完璧だった。手入れの行き届いた芝生、賞を取ったであろう薔薇の庭、ほとんどの人の車より高価そうな石畳の小道。
クインは白いバラの茂みのそばで立ち止まり、私に向き直った。彼女の表情には、私には読み解けない様々な感情が入り混じっていた。
「ブレイクはあなたをもてあそんでる」彼女は家の方をちらりと見て、静かに言った。「いい人ぶってるけど、騙されないで。彼は危険よ」
心臓が跳ね上がった。どうして彼女がそんなことを?
「どういうことですか?」私はなんとか声を絞り出した。
クインの顔が青ざめた。どれだけ明かすべきか、自分自身と葛藤しているようだった。
「私、ここに来て二年になるの」彼女はついに言った。「彼がこうするのを何度も見てきた。新しく来た子を標的にして、特別な気分にさせるの。男の子も、女の子も、関係ない。みんな自分が違うんだって、ブレイクは本気で気にかけてくれてるんだって思う」
彼女の声はほとんど囁き声になった。「みんな、壊されていく」
まったく意味がわからなかった。前の人生のクインは冷たく、よそよそしく、嫉妬深かった。私がブレイクの罠に落ちていくのを、一言も発さずに見ていた。なぜ今になって警告してくるんだ?
「どうしてそんなことを僕に?」と尋ねた。
クインは私から目を逸らし、薔薇を見つめた。「あなたが、ここに来たばかりの私に似てるから。迷ってて、脆くて」
彼女の声には何か別の、私には掴みきれない深い意味が込められているようだった。私がさらに問い詰めようとする前に、ブレイクの声が庭を横切って響いた。
「リバー! そこにいたのか!」
クインはすぐに一歩下がり、表情を閉ざした。「言ったこと、覚えておいて」彼女はそう囁くと、歩き去ってしまった。
その日の午後は、前の人生とまったく同じように展開した。クインの先ほどの警告にもかかわらず、ブレイクは例の熱心な笑みを浮かべて現れ、アトリエを見せると言って聞かなかった。
「ほら、クインに怖気づかされるなよ」彼はアトリエへと私を導きながら言った。「彼女は心配性なんだ。君はもっと強いだろ?」
アトリエは記憶の通りだった。二階にあって、床から天井までの窓があり、高価なイーゼルやキャンバスが散らばっている。壁にはブレイクが描いた絵が飾られていて、そのほとんどが肖像画で、実のところかなり上手かった。
「見事だろ?」ブレイクは期待に満ちた目で私を見た。
「ええ、本当にすごいです」私は自分の役を演じきった。
しかし、何かがおかしかった。ブレイクはしきりに入口を確認している。誰かを待っているかのようだ。前の人生では、このタイミングでクインが「偶然」通りかかり、私たちが一緒にいるのを見て、あからさまな嫉妬を浮かべて去っていくはずだった。
数分が過ぎた。クインは来ない。
ブレイクの笑みがこわばってきた。彼は再び、そしてまた入口を確認した。
「おかしいな」彼は呟いた。「いつもなら……」
彼ははっと口をつぐんだが、私にはわかった。彼の行動はすべて、クインが嫉妬するほど気にかけることに依存しているのだ。その反応がなければ、何の意味がある?
「たぶん、忙しいだけですよ」私は無邪気に言ってみた。
ブレイクの顎が引き締まった。「いや、彼女は……いつもなら……」
彼は最後まで言わなかったが、その苛立ちは明らかだった。初めて、彼の完璧な仮面にひびが入るのを見た。
その夜、自室に戻ってからも、クインの警告と奇妙な振る舞いが頭から離れなかった。何一つ記憶通りに進んでいない。時間軸は同じなのに、登場人物たちの行動がまったく違う。
私がまだ考え込んでいると、静かなノックの音が思考を遮った。
身を起こし、時計を確認する。もうすぐ深夜零時だ。
「誰ですか?」と私は小声で呼びかけた。
「クインよ」彼女の声はくぐもっていたが、緊張していた。「話がある」
胃が沈むような気がした。「今?」
「今よ」彼女はそう言った。その口調には有無を言わせぬ響きがあった。「ブレイクのこと。この家族のこと。そして、本当のあなたのことについて」
最後の言葉に、血の気が引いた。私は凍りついたまま、ドアを見つめた。
彼女は、知っている。
