第100章 君が出ていくのを手伝う

「君のせいじゃない。こっちに立ってくれて、ありがとう」

それは林田唯月の偽りのない言葉だった。自分が扉を叩きに行かなければ、矢吹薫は本当に理性を失っていたかもしれない――そう思う。

坂東勇には、どうして矢吹薫があそこまで変わってしまったのか理解できなかった。だからこそ、彼は改めて、真っ直ぐに約束する。

「俺が、お前をあいつから逃がす」

林田唯月の瞳の奥が、ふっと明るくなる。唇を持ち上げ、小さく笑った。

「ありがとう。時間、そろそろだよ。行こう」

彼女は立ち上がり、坂東勇と並んで特別病室へ向かった。

ガラス越しに見えた母は、身体がほとんど皮だけになっていた。胸元がかすかに上下して...

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