第107章 交通事故

矢吹薫は前方の車がハザードを点滅させたのを見て、すぐに意図を察し、自分もブレーキを踏み込んだ。

二台はそのまま路肩の非常駐車帯に停車する。

林田唯月がドアを開けた瞬間、矢吹薫が乱暴に彼女を引きずり出し、そのまま腕の中へ抱き締めた。

「唯月、行くな……どこへ行くつもりだ?」

声は痛みに濡れ、狂ったような独占欲が滲んでいた。

林田唯月は抵抗せず、ただ抱かれるままにしている。

その光景を見つめる椎名伴凪の瞳は、底なしに暗く冷たかった。殺意だけが、ぬらりと浮かぶ。

林田唯月もその視線に気づく。ちょうどいい。矢吹薫からどう離れればいいか迷っていたところに、向こうから勝手に近づいてきたのだ...

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