第11章 くそカップル

「……離婚?」

矢吹薫は宙に上げた手のまま固まった。さっきまで顔にあった高揚が、すっと消える。

父親になれると思った。林田唯月がやっと腹をくくって、謝って、もう一度ちゃんと夫婦をやり直すのだと――そう信じかけていた。

それが、散々振り回した挙げ句に「離婚」だ。

矢吹薫はテーブルの離婚協議書をひったくるように掴んだ。指の関節が白くなる。薄い紙が、今にも裂けそうなくらいに。

「林田唯月、もう一回言ってみろ。何がしたい?」

刺すような冷気を宿した目で一歩詰めると、唯月は反射的に二歩退く。

足元がふらつき、どさりとソファへ戻される形になった。

なぜ、そこまで怒るのか分からない。

離...

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