第110章 墓園

江口未黒は、そこでようやく胸のつかえを下ろした。

立ち去るとき、本当は坂東勇も連れていくつもりだった。

林田唯月が「彼は助けてくれる」と言っていたのを、ずっと前から耳にしていたからだ。

だが坂東勇は、残った力を振り絞って、彼に向かって小さく手を振った。

そして、あの男の言葉が脳裏に焼きつく。

「林田唯月を連れて行け。あいつを、完全に自由にしてやれ」

救急車のサイレンが近づいてくるのを確認して、江口未黒はその場を離れた。

……しかし。

矢吹薫のほうも重傷を負い、十日や半月ではベッドから起き上がれない状態だった。

それでも江口未黒が調べに動こうとした頃には、証拠はすべて消されて...

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