第116章 正常に戻る

助理はあえて深く考えないことにした。少なくとも今は、いい兆しだ。

矢吹薫はそのまま、きっちり二時間眠った。

この半年で、睡眠の最長記録を更新である。

椅子の上で目を覚ました矢吹薫は、反射的にスマホを手に取った。通話履歴を見て、ようやく――全部が現実だと信じられた。

イヤホンをつけたまま、林田唯月のあの二言を何度も何度も聴き返す。口元が、どうしても緩む。押さえようとしても、押さえきれない。

帰りの車中で、助理がふいに腑に落ちた顔をした。

「矢吹社長、これ……恋してますよね」

自分が恋愛していた頃も、まさにこんな感じだった。

矢吹薫はちらりと目を上げる。

「まあ、そんなところだ...

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