第119章 彼女こそがあの元妻

一方その頃。食事を続けていた林田唯月も、だいたい察していた。

さっきの矢吹薫は、きっと近くで聞いていたのだろう。

わざとああいう言い方をして、坂東勇を守ろうとした。――そんな意図が透けて見える。

江口未黒は胸の奥がちくりとするのを隠せず、ぽつりと言った。

「唯月……坂東と、けっこう仲がいいんだな」

林田唯月は、隠すことなく頷いた。坂東勇は最初こそ矢吹薫の側に立っていたが、真相を知ったうえで、最後に自分を助ける選択をした唯一の人間だ。

それに、あの時。彼が中に残って内通者になり、監視データの大半を消し、向こうで時間を稼いでくれなければ――自分が生きていることは、とっくに外へ漏れてい...

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