第123章 ここは女子トイレよ

江口未黒は、林田唯月がさっき立ち去った方向を追って、二階分のトイレを回った。けれど、どこにも姿がない。

三階のトイレに着いた頃には、正直、もう期待していなかった。

ちょうど中から女の子が一人出てきたのが見えて、江口未黒は慌てて口元に笑みを作る。

「すみません。彼女が紙を忘れたみたいで……スマホも電池切れで連絡が取れないんです。ここにいるかどうかも分からなくて。お手数なんですけど、個室を一つずつ確認してもらえませんか。名前は、つきです」

温和で気遣いのある言い方に、その女の子も快く引き受けてくれた。

江口未黒は入口で待ちながら、彼女が「コンコン」と扉を叩いては一つずつ声をかけていくの...

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