第125章 出て行け

男の声が、耳元にまとわりつく。

林田唯月はその腕の中から身をよじって抜け出すと、反射的に平手を叩き込んだ。

「矢吹薫。私の家から出ていって」

矢吹薫は殴られた勢いで顔を背け、それでもすぐに振り返る。熱を帯びた、執着の視線で彼女を射抜いた。

「少しは落ち着いた? もう一発いく? こっちも? それとも包丁で何回か刺す? 俺が死なない限り、好きにしていい」

「私とあなたは、一生無理」

林田唯月は嫌悪に眉を寄せ、スマホを掴んで通報画面を開く。

「今すぐ出て。じゃないと警察呼ぶ。今日のことが外に漏れたら、あなたの会社だって評判落ちるでしょ」

すでに発信ボタンに指がかかっている。こいつが...

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