第126章 彼女こそデザイナー

林田唯月は、自分が決めた販促方針を覚えている。水も焼き菓子も、すべて無料――そのはずだった。

立ち去ろうとする女を呼び止める。

「待って。あなたに接客してほしいだけ。ダメなの? あなたたちの宣伝、確か『一人ひとりのお客様を心を込めて』って。これが、あなたたちの接客なの?」

問い詰められた女は、鼻で笑った。露骨な嘲り。

「貧乏人が偉そうに理屈こねないでくれる? 私が相手するのは『お客様』よ。あんたみたいにタダで食って飲んで、居座る乞食じゃない」

女――太田志子は、林田唯月を値踏みするように上から下まで眺め回した。ノーブランドのTシャツにジーンズ、簡素なブレスレット。全部合わせても、せ...

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