第13章 芝居はやめろ

矢吹薫は振り返りざま、淡々と一瞥だけ投げる。唇の端に、嘲りの弧。

「林田唯月……いつから自傷で同情を買うようになった? 伴凪がああなってんのに、お前はまだ嫉妬だの取り合いだの……救いようがないな!」

吐き捨てると、矢吹薫は車に乗り込んだ。アクセルを踏み込む。

ギュワン――!

タイヤが地面を削り、乾いた土埃が舞い上がる。

林田唯月はその埃の向こう、遠ざかっていく車体を見送った。頭から冷水を浴びせられたみたいに、背骨の芯まで冷え切っていく。

唇を強く噛む。胃の奥を、見えない大きな手がぐちゃぐちゃとかき回しているようで――次の瞬間、痛みが雪崩のように押し寄せた。

意識が濁る。残ったの...

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