第131章 狂ってる

林田唯月はちらりと見て、二切れつまんで口へ放り込んだ。

「坂東勇、どうして食べないの?」

「……うん」

坂東勇も油条を一本手に取る。

二人の朝食は、妙に穏やかに進んだ。

食べ終えると、林田唯月は玄関のほうへ向かった。車の窓越しに、矢吹薫がまだ中で眠っているのが見える。

本来なら高級仕立ての礼服は、今やくしゃくしゃのまま身体に貼りつき、目の下には濃い隈。頬はこけて、骨ばった輪郭がいっそう際立っていた。微動だにしない。

――まさか、死んでないよね。

そんな考えが頭をよぎり、林田唯月はガラスをコンコンと叩いた。だが、反応はない。

胸の奥に不安が湧き、叩く力を強める。

それでも車...

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