第132章 私から遠ざかれ

矢吹薫は机の上に並べられた報告書に目を落とすと、怒るどころか、くつくつと笑い出した。

「唯月はとっくに俺の病気を知ってる……それを盾に脅すとか、どんだけ頭悪いんだよ」

矢吹薫は得意げに口角を上げる。林田唯月と付き合い始めた頃、彼はもう全部をさらけ出していた。

林田唯月が惚れたのは、壊れていて、偏っていて、救いようのない――そんな自分だ。

江口未黒は眉をひそめ、矢吹薫の言葉の真偽を測るように黙り込む。

信じられなかった。あんなに陽だまりみたいな林田唯月が、矢吹薫みたいな歪んだ人間を愛したなんて。

矢吹薫は診断書だという紙束をつまみ上げ、江口未黒の目の前でびりびりと引き裂いた。

「...

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