第140章 彼は目を覚ました

林田唯月が、いつの間にか眠りに落ちていた。

矢吹薫は夢の底で、身体も意識もずるずると沈んでいく感覚に囚われていた。このまま沈み切ってしまえばいい――そう思いかけたとき、耳に届いたのは林田唯月の声だった。彼女の、問い詰める声。

だから必死になった。答えを伝えたかった。瞼をこじ開けたかった。声を出したかった。

そしてようやく、矢吹薫の数値が正常域へ戻った。

目を開いた瞬間、助理と他の医師たちがどっと病室へなだれ込んでくる。

けれど林田唯月は、起きない。

よほど疲れていたのだろう。あれだけの物音でも、眉ひとつ動かさない。

矢吹薫は苦しい息の合間に、彼らへ小さく首を振った。

助理は、...

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