第141章 君を待っている

林田唯月は病院を出たところで、江口未黒と鉢合わせた。

彼は一階ロビーの片隅にずっと座っていた。背中を丸め、長いこと待っていたみたいに。

その視線が自分に向いた瞬間、林田唯月の胸に、理由のない後ろめたさが刺さる。――浮気を見つかった妻みたいに。

江口未黒はうつむいたまま、何を考えているのか分からない。全身に寂寥がまとわりついていた。

林田唯月はそっと肩を叩く。

「どうしてここに?」

江口未黒は驚いたように顔を上げた。瞳の奥を、哀しみが一瞬だけ走る。

「昨夜、用事を片づけてから君を探しに行ったんだ。でも、いなかった。あちこち当たって、矢吹家の秘書に呼ばれてここへ来たって聞いたけど…...

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