第150章 誘拐された

江口未黒は拳を振り上げ、鉄扉に思いきり叩きつけた。

ドンッ――!

鈍い轟音が手術室の廊下に反響する。だが扉は、びくともしない。

手術室用の鉄扉だ。医者である彼は、その強度を嫌というほど知っている。

江口未黒は振り返ると、そこにいた医師たちへ飛びかかった。脇からメスを抜き、いちばん近い看護師の喉元へ突きつける。

「お前、開けられる権限があるはずだ! 早く……開けろ!」

若い看護師は顔面蒼白になり、がたがた震えながら涙をこぼした。

「わ、私たちも分からないんです……! 私たちは矢吹社長の命令で来ただけで……人を助けて、ここで一晩見張れば二千万もらえるって……! だから、お願い、刃物...

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