第22章 江口未黒は遅かった

裁判長の手にした木槌が、高々と振り上げられていた。

林田唯月は、もう望みなんてないと悟っていた。ぴんと伸ばしていた背筋が、少しずつ、音もなく崩れていく。

爪が掌に深く食い込み、顔色は真っ白だった。

悔しい。何もしていないのに、どうしてこんなふうに嵌められなきゃいけないのか。

どうして矢吹薫は、偽りの証拠を信じて、彼女だけは信じてくれないのか。ほんの少しでいい、信じる気持ちさえ――。

その、最後の瞬間。

江口未黒が大扉を押し開け、息を切らせて駆け込んできた。

肩で荒く呼吸し、両手を膝に当てたまま。それでも彼は、ひとつの資料を高く掲げる。

「待ってください!」

「お、俺……証拠...

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