第41章 遅れて来た

林田唯月はぎゅっと裾を握りしめた。血の気が引いたように、顔色が真っ白になる。

口の中で何度も噛みしめていた言葉――一年前、護衛基金。

やっぱり矢吹薫は、また自分を騙していた。

数か月前に椎名伴凪と会ったばかりだと言っていたくせに、彼女のために立ち上げた基金が「一年前」だなんて。

林田唯月の目元がじわりと濡れる。もう離婚しているのに。

それでも思い出すたび、悔しくて、馬鹿みたいで、滑稽で――胸がきゅっと痛む。

数日前まで矢吹薫は、さも深情けがあるみたいな顔をしていた。

林田唯月は立ち上がった。ここにいたくない。矢吹薫とも、これ以上顔を合わせたくない。

「私、用事があるから。みん...

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