第42章 彼は彼女のために来た

林田唯月は、先輩がなぜここにいるのか、少なからず驚いていた。

周囲はすぐさま「おおっ」とどよめき、林田唯月を見る目が露骨に変わる。

委員長はさすがに察しが早い。さっと立ち上がり、満面の笑みで迎えた。

「江口社長。先ほどご連絡をいただきましたけど、てっきりこちらには来られないのかと」

江口未黒は林田唯月の隣に腰を下ろすと、彼女のグラスの酒を気づかれないように下げ、代わりにフルーツジュースを置いた。

声は穏やかで、視線だけが一度も林田唯月から外れない。

「隣で会議があってね。唯月がこっちにいるのが見えたから、顔だけ出しに来た」

――ぎり。

矢吹薫は、手の中のグラスを砕きそうになる...

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