第43章 口が達者

周囲の連中が一斉に矢吹薫へ寄っていき、口々に気遣いの言葉を投げた。

林田唯月も騒がしさに顔を上げる。

そこにいた矢吹薫は、どんよりとした目でこちらを睨みつけていた。殺してやる、とでも言いたげな視線。

唯月は淡々と目を逸らし、フルーツジュースを一口飲む。テーブルの料理に視線を落とし、あっさりしたものをいくつか選んで口へ運ぶ。まるで向こうの出来事など自分には関係ない、という顔で。

その態度が、矢吹薫の神経をじわじわ削った。

同時に、自意識過剰なのかもしれないとも思ってしまう。

それでも――。

彼女の目は、まるで「他人」を見るみたいだった。

本当に、過去を置いてきたみたいに。

…...

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