第54章 罰

矢吹薫は煙草を揉み消し、半分の顔を影に沈めたまま言った。

「……分かった」

最後の煙を吐き出し、口元だけが残忍に吊り上がる。

林田唯月――見つけた。

技術員が車を降りた途端、背後の車がドンッと唸りを上げた。弾けるように発進し、あっという間に闇の向こうへ消えていく。

車越しでも伝わるほどの怒気。

情報解析の男は空に向かって手を合わせ、ぶつぶつと呟いた。

「奥様、ほんと俺のせいじゃないっす……矢吹社長、金の積み方がえげつなくて……」

……

車内。矢吹薫の目は血走っていた。

奥歯を噛みしめ、ハンドルを握る手に力がこもる。指先が白く冷えていく。

脳裏を埋め尽くすのは、さっき聞い...

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